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大型家具店にやってきた

2014年11月08日

ソファー

成田祐介と山崎奈美は、結婚式を間近に控え、今日は大型家具店にやってきた。

リビング、ダイニング、キッチン、寝室の家具を一通り選び歩いたあと、次はカーテン売り場に向かっている。

その間、奈美は、人目をはばかるほどの、思い出し笑いの連発だった。
「君の笑いのツボがよくわからないな~」
祐介は、笑っている奈美がおかしくて、つられて笑いつつ、突っ込む。
「だって、だって・・・」
奈美は笑いをこらえながら反論する。

それは、寝室家具売り場での出来事だった。
最高級羽根布団の説明を新人の女の子が必死に説明していた。
「なにが特別かと申しますと、この羽根布団は、すべて、母鳥のワキ毛を使用しているんです」
「母」と「ワキ毛」というキーワードに、プッと奈美が吹き出し、それから笑いがとまらなくなった。店員はますます真剣に説明する。
「母鳥は、ワキの下で、ヒナを温めるので、そのワキ毛は、どの羽根の部分より、柔らかく軽く温かいんです」
もっともな説明に、祐介はふむふむとうなずいていたが、奈美の笑いにスイッチが入り、それ以上の長居は不可能だった。

「君の笑いのスイッチは、ところかまわず入るね。それに、ツボがいまひとつ掴めない」
祐介はカーテン売り場に向かいながら、まだ笑っている奈美に呆れて言う。
奈美はいたずらっぽくたずねる。
「笑いのスイッチがわからないのと、怒りのスイッチわからないの、どっちがいい?」
「・・・そりゃ、笑いのスイッチ・・・」
「じゃ、よかった。私は理由なき怒りのスイッチないからさ」
不思議な説明に、首をかしげる祐介。
「でも、母鳥のワキ毛・・・」
また吹き出す奈美をさすがに祐介は小突いた。

祐介と奈美は、元々同じ会社の同期だった。元の会社が企画会社だっただけに、いろんなイベントを他の同僚たちと行ったものである。

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Posted by 弘せりえ at 14:32│Comments(0)短編
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